モータリスト代表が語る「スクランブラー」の魅力

スクランブラー。スクランブル=緊急発進みたいに捉えちゃう方も多いと思います。もしくは、スクランブル放送みたいな周波数変換を意味してみたり。って、何のことやらさっぱりわかりません。なんでバイクに?英語の辞書を引くと、よじ登る人、這うようにして登山を続ける人、っていう意味もあったりします。
1974 | Caballero Regularity1251974年 | CABALLERO Regularity125
こっちですね。這うようにして、ってなんだかスマートじゃないですが、いわゆる登山家みたいに専用のトレーニングをして専用の装備でひょいひょいと上がっていくのではなく、手持ちの装具で本格的なところにもチャレンジしていくイメージっぽいです。なるほど。

ロードバイクを改造してスクランブラーになってきたのがわかりますね。そう、最初からオフロード走行を意識して作られたバイクではなく、ロードバイクをベースに、サスペンションを長くしたり、ブロックタイヤ付けてみたり、マフラーをサイドアップにしてみたりと、オフロードいけちゃいそうなストリートバイクに仕上げたのがスクランブラー。なんです。世の中にスクランブラーを名乗るオートバイは結構たくさんありますが、そのほとんどのモデルが由来どおり「オフロードを走れなくはないけれどもそもそもオンロードモデル」です。

ところが。

ファンティックのスクランブラーは一味違います。まず、ベースとなるストリートモデルがありません。
1969 | Caballero Cross50 / 1971 | Caballero Cross Strada100
1969年 | CABALLERO Cross50 / 1971年 | CABALLERO Cross Strada100

1976 | Caballero Regolarità125 / 1978 | Caballero50 Mik26
1976 | Caballero Regolarità125 / 1978 | Caballero50 Mik26
スクランブラーとして生まれ、スクランブラーとして生きていく。もう、これだけで惚れちゃいますね。一本筋の通った男です。なんなのそれ?はい、オフロードはついでや可能性ではありません。本格的なオフロードマシンに全く引けを取らずに、しばしばそれ以上にオフロードを存分に駆け巡ることのできるスクランブラーが、ファンティック・キャバレロです。
2019年 | CABALLERO Scrambler500 50th Anniversary / 2018年 | CABALLERO Rally500
スクランブラーを名乗るすべてのモーターサイクルがごめんなさいしたくなるほどに、オフロードに本気のスクランブラーなのが、キャバレロなのです。
2019年 | CABALLERO Scrambler500 50th Anniversary / 2018年~ | CABALLERO Rally500
2019年 | CABALLERO Scrambler500 50th Anniversary / 2018年~ | CABALLERO Rally500 車両詳細はコチラ

2018年 | Caballero Scrambler500
2018年~ | Caballero Scrambler500
かといって、キャバレロはオフロードモデルではありません。ストリートモデルです。ストリートも走れるオフロードモデル、というわけでもありません。むしろ、並のネイキッド・モデルよりはるかに敏捷なハンドリングとバランスに優れたシャシーが、サーキットでさえも軽々とこなし、毎日愛車を走らせるアスファルトでネガを全く感じさせません。ファンティックのディーラーさんにはキャバレロでサーキットを存分に楽しんでいらっしゃる方が少なからずいらっしゃいます。
Photo:Moto Megane | www.motomegane.com / Special Thanks To  Trentasette37 | CABALLERO Scrambler500
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500㏄の単気筒は非力ですが、バランスの優れた車体が素晴らしいコーナーリングを楽しませてくれるばかりか、右手に忠実にレスポンスする小気味よいエンジンが、モーターサイクルの愉しみはパワーだけではないことをよく教えてくれるのです。

ファンティック・キャバレロ・スクランブラーの魅力はここにあります。キャバレロは、文字通りどこを走っても、そのジャンルに特化して作られたモデル以上に楽しいのです。そんなバイク、あります?無いですよ。いやホントに、ないです。楽しいバイクは世の中にたくさんあります。素晴らしいバランスのバイクも、サーキットを走らせたら絶品のバイクも、ツーリングたまらないバイクも、オフロードなら任せとけなバイクもあります。でも、そのどれもを平均点よりはるかに高いレベルでこなせて、しかもそれは無理やりではなく、楽しい。それが、キャバレロです。見た目はごついけど、驚異的に軽くて、ちょっと長めのストロークを持つサスペンションがしなやかに路面をとらえて、いつどんな時も乗り手を裏切らないインフォメーション豊かなフィードバックを与えてくれる。最高のバランスの持ち主が、キャバレロなのです。

だから、まず乗ってみてください。バイクに乗ることがこんなに気軽で、こんなに楽しいなんて。びっくりして言葉を失い、そのうち口元が緩み始める。そんなバイク、キャバレロを置いてほかにはないですから。

ファンティック・キャバレロ・スクランブラーはしかし、乗って楽しいだけではありません。まずは見た目です。美しいスタイリング。いつまでたっても飽きません。特にマシンやや斜め後方から眺めた時の、例えば右側なら2本出しのマフラーとサイドカバー、そこから立ち上がるフューエル・タンクのラインの美しいこと!CABALLERO Rally500

ファンティックは、「足つき」のためにタンクを絞り込む、という手法は取っていません。カタログを開いて、あるいは街に出て走るバイクをよく観察してみてください!タンクの後端やシートの前端、ほとんどのバイクが絞り込まれています。タンクのニーグリップ部分にはラバーが貼られていたり、膝を入れやすいようにキャラクターラインが立ち上がっていたり、シートを深く削り込んであったり、と枚挙にいとまがありません。ところが、ファンティックではこれら一切と無縁です。まず、こんなバイクを作りたい!というデザイナーの強い気持ちがあり、マーケティングが合意し、生産技術が認めないとこんなバイクは作れません。だからといって、デザイン優先で乗れないバイク、ということは一切ありません。ふくよかで美しいカーブを描くタンクでも、またがってみれば膝の開きは自然で、乗り手に苦痛を強いることなど一切ありません。一見ごつく見えるスタイルはライディングポジションをとってみれば極めて自然で、しかもコンパクトです。CABALLERO Scrambler500赤いボディにはシルバーのアクセントがあちこちに用意されていますが、フロントフォークのシルバーからラジエーターシュラウド、サイドカバーのアクセントとすべてがバランスをとって用意され、しかもタンクやシートのキャラクターラインとが一致するように美しくスタイルされています。デザインが破綻していないからいつみても自然で気持ちがよく、不快感がないから長く楽しめるのです。

キャバレロの軽さも大きな特徴の一つです。車重は500㏄でわずか150㎏(ガソリン抜き)。余計なものを削り、モーターサイクルが持つ本来の動力性能を楽しみ、使い切る。500㏄のシングルエンジンは十分にパワフルですが、決して速いバイクではありません。けれども、使い切る楽しさに満ちているうえ、使い切ればバカにできないほどのスポーツ性能を発揮することが可能です。私たちは全くのノーマルのキャバレロでエンデューロレースに出たり、サーキット走行を行ったりと様々に楽しんできましたが、それでバイクが音を上げるようなことが無かった、ということは特筆しておきたいですね。

イタリアン・クオリティと、所有感あふれる作り込みも大切なポイントです。ファンティックは、イタリアで50年以上の歴史を誇るメーカーであり、資本も含めてオール・イタリアであることもその自慢の一つです。これはファンティックにとっては非常に重要なことなのです。主要な部品もほとんどがイタリア生まれ。特に所有感をそそるアルミ切削仕上げのフォーククランプやトップブリッジ、シャシーの肝であるスイングアーム・ピボットを構成するプレートにもアルミ切削仕上げとするあたり、コスト度外視といってもいいほどの美しさです。CABALLERO Scrambler500マフラーのヒートガードもドライカーボン製だったりと、手を抜くところがない仕上がりは、長くキャバレロと付き合えるポイントでもあります。

とにかく見ていて飽きない、ご飯食べられちゃう美しさがキャバレロですが、もちろんきれいなだけのバイクならほかにも幾らでもあります。キャバレロよりはるかに高額のオートバイは世の中にあふれていますからね。でも、キャバレロならではの楽しさは、エンジンをかけた瞬間から伝わってくるのです。

450㏄のシングルエンジンは、スターターボタンに手を触れるだけで軽いクランキングで目覚めます。ARROWのマフラーからよく消音された、しかしパルス感にあふれる小気味よいサウンドが流れ、ライダーの気分を掻き立てます。ひとたびアクセルをひねると、おお!びっくりするくらいのレスポンスの良さ。モトクロッサー向けに開発したルーツを持つエンジンはショート・ストローク。キャバレロのエンジンの最大の魅力の一つが、このレスポンスの良さにあります。CABALLERO Scrambler500アクセルを持つ右手に意思を込めれば、ライダーの思うがままに動き出す、最高のマシンなのです。内燃機関にありがちなドロッとした鈍いレスポンスとは無縁のアクセラレーションは、スポーツライディングが大好きな乗り手を虜にさせてくれます。

それだけ聞くとちょっと過激でやんちゃな感じ?いえいえ、単気筒ならではのパルス感と、しっかりと大地をつかむトラクションを楽しみながら、ゆっくり走ることも全く苦にしないフレキシブルさが、このエンジンの魅力でもあります。このトラクション力こそが、林道の楽しさでもあり、レースでさえもこなせるほどのオフロード走破力にもつながっています。レスポンスの良さは地面を掻きそうに感じるほどですが、むしろトラクションがよく、確実に地面をつかむことで前に進んでいくスクランブラーなのです。

走り出すとすぐ感じるのが、上質なサスペンション。一見何の調整機能もないサスペンションですが、初期はよく動き、ボトムではしっかりと踏ん張ってくれるよくできたサスペンションです。これに何の不満があるの、っていうくらいしっとり。もちろん、激しいフロードでの走りや、サーキットでのフルブレーキングにも耐えられるようにちょっとばかり高荷重の設定にはなっていますが、だからこそ底付感もなく、どんなシチュエーションにも合わせられる不思議なサスペンションです。その足回りに支えられているのが、バランスの良いシャシーです。クロモリ製のフレームは、硬すぎずしなやかで、オートバイがきれいにピッチングして良く動いてくれるのをしっかりと受け止めます。バイクがバランスの乗り物であることを文字通り全身で表現するように仕上げられている肝が、このフレームといっていいでしょう。キャバレロの全方位楽しめる素晴らしさは、まさにこのバランスの良さにあります。だからいつ乗っても楽しいし、引っ掛かりのない、楽しさだけが気持ちよく残る印象につながるのです。

はい、スタイルから入っても、エンジンから入っても、どこからも隙が無いほどに楽しい。これがキャバレロです。味わえば味わうほど、他に似たものがないことに気づいていただけるはず。排気量ヒエラルキーからも解き放たれて、本当に楽しくて、自分の使い方に合った万能なマシンが欲しい方なら、必ず共感していただけるモーターサイクル。それがキャバレロなんです。

CABALLERO Scrambler500
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キャバレロの沼に、ぜひはまりに来てください。まずは試乗しましょう。そして、一緒に旅に出ませんか。

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プロショップ・Trentasette37の塙代表によるサーキット走行レビュー | Moto Megane